無職になったら パソコン壊れた

のんびり書きます 目を通してくれた方、スターをくれた方、ありがとうございます。

ちっぽけ

はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」

 

 

思い返せば、10歳の頃、私は本当にちっぽけな子どもだった。

 

目立ったいじめはないものの、学校に馴染めていないような、そんな子ども。

 

家でもちっぽけだった。

 

父親が高圧的な人間で、機嫌を損ねると、椅子で私を殴るため、いつも肩をこわばらせて、小さくなっていた。

 

そして、私自身、育てにくい子どもだった。

 

だから、当時の私は学校にも、家にも、どこにも居場所が無かった。

 

常に緊張していて、頭は真っ白で、ずっと息が詰まりそうだった。 

 

きっとこの頃の子どもたちに大切な、自分の好きなことをする、自分自身で何かを成し遂げる、という実感も無かった。

 

そんな中、家に一台のノートパソコンが来た。テレビと比べると、ちっぽけで、よく分からない機械だった。

 

親や他の兄弟の目を盗んで、触ってみると、文字が入力できて、インターネットに繋がることが分かった。当時の私には、不思議とそれが面白かった。

 

2~3か月後に小学校から、環境汚染の原因になるガスについて、インターネットで調べるという宿題が出された。

 

その宿題のガス名にあった、”フェ”をどのように入力したらいいのか分からず、打てずにいた。

 

私はとても困った。失敗して父の機嫌を損ねたら、殴られる、と思ったから。

 

だから、インターネットに聞いてみた。

 

拙いローマ字で、何とか方法を調べてみた。

 

その結果数時間かけて、自力で、”FE”と打てたのだ。

 

とても、嬉しかった。それまでが、上手くいかなかったから、余計に。

 

それからというものの、私はパソコンが大好きになった。

 

時間が空いては、パソコンのインターネットで物を調べ、ブログを読み、当時回線の重いYouTubeを見た。

 

私の中に、パソコンの中のインターネットという、ちっぽけな一つの居場所が出来た。

 

その後私は、親子問題も解決して、インターネットに目覚め、バンバンブログを書き、プログラミングの出来るスゴイ子どもに…とは、ならなかったけど。

 

当時の私には、どうにもならないちっぽけな子どもを、一つの方法で生かしてくれた、世界そのものだった。

 

インターネットは目で見るとちっぽけだけど、大切な存在だった。

 

 

だから、インターネットが、ちっぽけな誰かの、ちっぽけな居場所になりますように。

 

 

 

このコンテストをきっかけに、自分を振り返れる方がいたら、もっと嬉しいです。